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2012年6月25日月曜日

社会保障と税の一体改革を進める
 「社会保障と税法案」は紆余曲折の末、いよいよ採決の運びとなった。明日、私は賛成票を投じる決意である。いろいろ迷った。三党合意というハードルもあり、当初からの私達の主張からすれば不十分な部分も少なからず残った。党内に未だ強い異論もある。その中にはこれまで行動を共にしてきた仲間も少なくない。結果として袂を分かつこととなるかもしれない。言わば苦渋の選択である。あえて賛成することとした理由は以下の通りである。
 税負担は少ない方がいい。私もそう考えるひとりだが、今の状況を放っておくわけにはいかない。もう何十年も歳出に見合った歳入が大幅に不足する状態が続いている。足りないから国債発行で補ってきた。国民から借金を積み重ねてその額は一千兆円に達している。これからも平気でこんなことを続けてはいられない。この意味で、消費税の税率アップが必要であることを否定する議員は多くはない。にもかかわらず、なぜこんなに異論が出ているのか。
 問題は、大きく
  1.増税の前にやることがある
  2.今はその時期ではない
のふたつだ。

1.増税の前にやるべきことがある?
 その通りだが、この間、民主党政権が無為に手を拱いていたのかと言えばそれは違う。ヤマほどある課題に対し、内外共に厳しい今日の状況の下、それでも少なからぬ政策に取組んできた。
 2009年の総選挙で、私たち民主党はマニフェストを訴え、政権を委ねられた。マニフェストは言わば『国民の生活が第一』と言う旗印の元での政権4年間のプログラムである。その大目標実現に向けてすべての個別の具体的政策が提案され、その実現が図られるべきものである。
 ただし、4年間と言う時間は短いようでもそれなりに永い。当然、その間に予測しなかった不慮の事態が生じることはあり得る。今回の場合で言えば、マニフェスト作成後のリーマンショックと世界同時不況、昨年の東日本大震災と原発事故、ギリシャに発するユーロ危機など、わが国社会を揺るがす事件が続けざまに襲いかり、深刻な影響を及ぼしている。
 こうした中で金科玉条のごとく一言一句、墨守すべきものがマニフェストであるとは思わない。事態の急変に柔軟に対応して折々に優先順位を見直し、実施時期を調整しながら、粘り強く大目標の実現を図るべきをマニフェストと考える。
 しかも、参議院過半数を持たない状況の中で、マニフェストを所期のとおり、そのまま前に進めていくことは容易ではないが、たとえ遠回りをしようとも大目標を捨ててはならないし、また、それを忘れてはいないことを改めて表明したいと思う。
 少子高齢化が進み、人口が減ろうと言うこれからの時代、国の活力を保ち、国民の安心・安全を支え、一人ひとり、老若男女、すべての国民がこれまで以上に能力を発揮して頂かなければならない。そのための条件を整えることこそマニフェストの大目標であり、それを前に進めることに今こそ集中すべきだ。


2.今はその時期ではない?
 すなわち、わが国の今日の経済状況の評価である。不景気とデフレの続く中で、増税はむしろ不況を深刻化させる、消費税は景気回復してからだ、という。では今、景気回復の道筋をどう描くか。
 結論から言えば、成長戦略と同時に、次の時代の健全な経済の枠組を確立し、景気を支える上で社会保障と財政の改革が必要である。
 社会保障は新たな時代の経済の基礎である。セーフティネットであり、所得の再分配である。医療・介護は雇用と所得の機会であり、子育て・教育は次代への投資である。さらに、そのための財政基盤を健全化することは、国際経済が金融化し流動化している中で日本経済のしっかりした基盤を確保することでもある。
 1990年代初頭の土地バブル崩壊以来、わが国の経済状況は「失われた20年」、ひとり負けの日本と言われてきた。しかし昨今の先進諸国の経済状況は、タイムラグはあるもののITバブル、金融バブル等、正に日本と同じ轍を踏み、今や軒並み、わが国と同じ低成長、ゼロ金利の状況をたどりつつある。
 この間、世界経済は中国やインド等の台頭、食糧やエネルギーの価格高騰とわが国が得意としてきた工業製品の競争激化と価格の低迷、企業の世界的展開による雇用の縮小と賃金低下、さらに国際的な金融資産の跳梁と波状的に起きるバブル、その崩壊など、世界的枠組の激変のまっただ中にある。
 その中にあって今日、わが国は東日本大震災にも関わらず、厳しいとは言え今日、実質GDP成長率、消費者物価、経常収支などは改善し、比較的安定している。経済状況が乱高下する状況下での増税は不可能であるが、今日の相対的安定の時期を逃せばその機会は失われる。とは言え実施は2年後、その間、ユーロ危機等の波及などの事態の急変に際しては停止することを前提としなければならない。
 この間、消費税に関しては地元の有権者からも少なからず厳しい意見を頂いている。税が好きな人間はおらず、私もそのひとりだ。だからこそお預かりした税は社会保障を通じて全てを国民に還元すること、しっかりとした低所得対策、中小企業対策を実施することに全力を尽くしたい。
 支援者のみなさん、今回の一連の経緯の中で、わが党の意思決定をめぐるガバナンスの未成熟さを痛感しました。この機会にわかりやすい新たな民主党の文化と風土を是非築いていきたいと考えています。ぜひ、ご理解を賜りますようお願いします。
衆議院議員  若井 やすひこ

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