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2012年6月7日木曜日

原発再考 -脱原発依存への道-

 大飯3、4号の再稼働の是非について判断が迫られている。先月号に私の基本的な考え方を述べたが、改めて問題点を整理しておきたい。
 
 今、議論は大きくふたつに分かれている。すなわち
 A.すべての原発を即時停止、廃炉
 B.原発推進。核燃料サイクル促進
このふたつを両極としてその間に様々な考え方があり、選択肢がいくつかある。先に述べたように私は脱原発依存の立場であり、可能な限り速やかにその実現を急ぐべきと考えるが、問題はそこに至る道筋をどう見出していくかから議論すべきだと考える。

ドイツ、ほぼ10年で全原発を廃炉に
 3.11後、ドイツではいち早く脱原発に舵を切った。17基の原発のうち8基を停止、稼働年限32年に達したものから廃炉にし、2022年までに全原発を廃炉にする、すなわち10年で脱原発を実現するとしている。ご存知の通り、ドイツはかねてから太陽光発電等、再生可能エネルギーの普及に努め、すでにエネルギーの20%程度を供給しているが、10年後にはこれを35%にして原発による発電量を代替し、不足分は電力消費削減により補うことを目標としている。

日本の原発の現状は? 
 翻って、わが国ではどうか。3.11以後も各地で原発は稼働していた。しかしその後、年に一度の定期点検を機に停止し、そのまますべての原発の運転が止まっているというのが現状である。昨夏は節電と、休止中の火力などを緊急稼働して不足分を補った。これらは原発以上に老朽化しており、いつ、故障し停止するかわからない。節電は必須だが、家庭向けはともかく事業者向けには継続的な節電は難しい。再生可能エネルギーが普及し、代替できるまでにはまだ時間を要する。

脱原発依存の道筋をどう具体化するか
 わが国には事故を起こした4基の原発の他に残る50基の原子炉がある。これまで全電力の30%をこれらの原発に依存してきた。しかし老朽化した炉も少なくない。福島第一の1号機も40年を経ていた。現在、40年以上の原発は他に美浜に2基、敦賀に1基ある。経年劣化と度重なる修理によリ、原子炉本体はもちろん配管その他の安全性能は低下し、故障、そして事故の危険性が高まっている。少なくともこれら高経年の原子炉から廃炉して、脱原発に向けて進むべきである。ちなみにドイツは32年を例外なしに廃炉とする基準を設定している。
再稼働を原則とせず、原則は順次、廃炉へ
 他方、電力供給の現状からして、これらの条件を勘案しつつ、ストレステストなどこれまでのチェックをパスした最少限の原発に限り、再稼働するのが現実的だと考える。船舶などのように耐用年数を決め、順次、退役させて補充はしない。
 原発は、再稼働しても数年に渡り稼働し続けるわけではなく、定期検査のため一年のうちに再度停止する。この点、40年に到る以前にも再点検の機会は確保されている。なお、夏の短期間、数ヶ月だけ暫定的に稼働させるという提案もあるが、稼働には試験運転を含めてひと月以上の準備の時間を要する上に、一年後に停止することを考えればあまり意味がない。 

 
大飯再稼働は脱原発に向けたテストケース 
 このような観点から、大飯を再稼働しようとする場合は脱原発に向けての先駆プロセスとして位置づけ、考えられるあらゆるチェックを入念に行うべきである。 それを通じて地震と津波、活断層などについて新たな安全基準、定期検査、ストレステストのありかたをB抜本的に見直す。
 また、この一年の間に、それを担い、実行する原子力規制庁などの仕組みをつくる。脱原発のプログラムや避難システムなど危機管理の方策を確立する。そして何よりも、地元自治体との意見交換もしっかり行いながら、プロセスへの合意形成を図ることが必要である。
 以上、大飯再稼働問題に関して再度、所見を述べた。御批判をあおぎたい。
衆議院議員  若井 やすひこ

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