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2012年8月9日木曜日

 
 
 
 
 
公共事業をコントロールする- リフォームへ軸足の移動
 
 
 ヨーロッパの街並は古い。にもかかわらず美しく、気が休まる。それを徹底的に磨き上げ、一方、ムダを省いて看板や電柱が目立たない。見えないところでしっかり手を入れて、現代的な暮らしにふさわしい場にしている。言わば街ぐるみの徹底的なリフォームである。こうして世代から世代へ、自信を持って継承できる財産、真の意味での社会資本を創る、今こそその時である。
 
 
●放置できない公共施設老朽化
 わが国でも、これまでの努力で数も量も揃ってきた。中にはムダなモノもあっただろう。これからはそれらを取捨選択し、真に必要なモノを大事にし、質を高める時。本当に残すべきモノを選んで徹底的に手を入れる。新たに造るのはよほど足りないもの(地域?)か、新たな時代を開くものに限るべきだ。
 ヒトと同じようにモノにも寿命がある。造られたものは必ず朽ちていく。クルマや住宅なら時間が経てば修理が必要であり、いずれ買い替えるのは常識だが公共施設も事情は同じであるにもかかわらず、意外にそれが常識になっていない。造られたものが老朽化する一方で、さらに新規の投資さえ求められる。
 何もない時代にはひたすら造り続ければよかったが、今後はそうはいかない。限られた財源の中で、これまでにひと通り整備された公共施設をいかに維持管理していくか、更新していくかが最優先の課題となる。それには膨大な資金が必要だが、財源は限られている。これまでひたすら公共事業を削減してきたが、今後はそれさえままならない。 施設の老朽化は放置できないから、新事業どころか場合によっては、今ある公共施設を廃止することさえ考えなければならなくなるだろう。必要性のより高いものを優先し、取捨選択は避けられない。公共事業は今、大きな曲がり角にさしかかっている。
 
 
●更新だけでも膨大な資金が必要−10万都市で年60億円強
 公共施設には学校、病院、庁舎、公営住宅、公民館、図書館などがある。ある試算によれば、これら施設建築物の総面積は6.5億㎡、そのうち9割以上が地方資産である。耐用年数を50年、更新単価を27万円/㎡(一般民間工事単価)とすると、総工事投資金額は175兆円、3.5兆円/年となる。同じように道路については29兆円、1.9兆円/年、橋梁が34兆円,0.7兆円、上水道が57兆円、1.1兆円/年、下水道が42兆円、0.8兆円/年であり、337兆円、8.0兆円/年となる。これらの公共施設はおおむね地方自治体の所管であるが、ちなみに人口10万人当たり、50年間で2,675億円、63億円/年を要する。
 公共施設に加えて河川、港湾、鉄道、高速道路、農業基盤施設、通信・電力インフラ等の社会資本も公共投資の対象(主として国管轄)であり、今後必要な財源は天文学的な額に達するはずだ。
 
 
●ニュータウンでも多様な試みがはじまっている
 千葉ニュータウンも整備が始まってから約40年、初期に建設された教育施設の老朽化が進み、耐震補強事業が急がれている。
 白井市では市庁舎の耐震補強を廻って検討がなされ、築30年以上を経た8階建ての現庁舎を4階に減築し、除却した面積相当を新築で補うこととなった。
 広域ゴミ処理施設、印西クリーンセンターの老朽化に伴う更新についても処理方式や立地場所を廻って議論が進んでいる。また、各地域の商業センター地区も更新の時期を迎えている。
 これら既存の公共施設の多くはニュータウン事業の中で県やURにより整備されたものだ。その更新は、この間充実してきた地元自治体が主体となって進めたい。言わばお仕着せのスタンダードで整備された既存施設を、今度こそ地域の特性をしっかり見極め、どこでどのように更新するか、またこの40年間のコンセプトや技術革新の成果を生かしつつ、大いに前進させていくべき時である。
 
 私はそのための財源の確保と法制度の充実と現代化に取組んでいきたい。
 
 
 
 
衆議院議員  若井 やすひこ

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