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2012年5月8日火曜日

再稼働を急ぐな

すべての国民参加による世界初の国家的大実験へ

 5月6日、泊原発3号機が稼働停止、50基の原発すべてが停止することになった。この機会にできる限り速やかに脱原発を実現したい。ただしCO2削減や代替エネルギー、原子炉や燃料の償却、原発以外の既存発電施設の寿命などの課題も残る。結論から言えば、全ての原発を今すぐに永久に止めることは現実的ではありません。今回の事故を機会に脱原発に転じたドイツも全稼働停止目標を最短2022年においています。その上で、脱原発の動きをできるだけ早く加速すべきだと言うのが私の主張です。国の総力を挙げ、電力利用のあり方や経済負担も含めて、すべての国民、企業が参加し遂行する、しかも失敗は許されない世界で初の国家的大実験です。

電力不足を理由に再稼動を急ぐな
このような大実験を拙速に進めることには多くの危惧があります。政府は現在、大飯原発の再稼働をめざしています。関西電力は原発への依存度が50%超と最も高く、この夏の電力不足が危惧されているだけでなく、原発関連の未償却資産を放棄するわけにもいかない。しかし、電力供給の危惧よりも事故の危険の方が深刻であり、福島事故の検証が先だ、それに基づき安全対策の実施が前提だ、という声が多く上がっているのも今回の事故を見れば当然です。再稼働するにせよ、周到な準備と脱原発へのしっかりしたプログラムが必要であることはいうまでもありません。

再稼働してもいつでも停止可能
そもそもなぜ今、すべての原子炉が止まっているのか。それは原発事故が直接の理由ではなく、定期検査のために停止して以来、止まったままになっているというのが事実です。原子炉は1年に一回、定期検査が義務づけられており、たとえ再稼動しても1年後には再停止する。定期検査の期間は3ヶ月。また、燃料は3年間の間に3回使い回しされて使用済みとなる。したがって、条件さえ整えば、原発は国民の意思によりいつでも動かせるし、また一年単位で止めることもできるのです。
その上で、原発をいつ再稼働させるべきか。結論から言えば、慌てて再稼動を急ぐ必要はないが、かと言っていつまでも答えを引き延ばしていいというものでもありません。政府は今年の夏までに電源のベストミックスについて再検討し、エネルギー基本計画を見直す予定。その中で、脱原発への目標年次が決められる。
本当に必要な電力はどのくらいなのか、節電がどれくらい可能なのか、代替の再生可能エネルギーに置き換えるために必要な時間は?これらについてじっくり検討して、相対的に安全性と必要性が高いものを施設の寿命はどれくらいなのか見極めつつ、期間を決めて最小限の数の原発を再稼働する。こうした内容を、全停止に向けての理解しやすいプログラムとして提示することが必要です。


より深刻なのは使用済み核燃料
 しかし、より深刻なのはどの原発にも残されたままの使用済み核燃料の処理の問題です。全国の原発には、ほとんど行き先の決まらない大量の核燃料がプールに保存されている。これらが充分に冷却され、落ち着くまでには何十年もかかる。福島第一の爆発も、冷却水が抜けたプール内の核燃料棒の発熱により生じた水素爆発とこれら核燃料が飛散したことが主たる要因になったと言われる。
しかも、この使用済み核燃料をすべて処理するには約10兆円の経費と300年程度の時間を要する。気の遠くなるような話です。これを解決すべく考えられたのが核燃サイクルですが、理論的には可能とされたものの実用化には至っていません。世界的にも未解決のこの問題、現実的な処理の方法を早く確立することが急がれており、この問題への目配りも求められます。
 
始まった体系的除染
 原発事故により放射性物質の汚染地域となっている鎌ヶ谷市、白井市、印西市では、除染対策が急がれてきました。詳細な汚染状況の調査が行われ、これに基づき除染実施計画策定が進み、このほど環境省との協議も整いましたので、いよいよ除染事業が始まりました。私からもご報告します。
衆議院議員  若井 やすひこ

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